2012年12月30日

イタリアのトットーリ

ローマ字で書かれた、アクセスのあった都市名のリストを見ていた。
大半は日本の都市名で、東京23区は区名であるのだが、日本以外の都市名がランダムに入っている。
その中に現れた"Tottori"という都市名をみて、鳥取であると気づくのに5秒かかった。

どこかイタリアの都市にありそうな名前だと思ったのだ。
なぜか?

同じ子音が二つ続く部分(tt)があること、語尾がイタリア語名詞の複数形によくみられる-iであることからであろう。

Tottoriはイタリアでもおかしくない。
試してみよう。

Pos.ComuneProv.RegioneAbitanti
1RomaRomaLazio2 796 102
2MilanoMilanoLombardia1 350 287
3NapoliNapoliCampania956 664
4TorinoTorinoPiemonte905 352
5PalermoPalermoSicilia653 235
6GenovaGenovaLiguria606 070
7BolognaBolognaEmilia-Romagna383 949
8FirenzeFirenzeToscana374 580
9BariBariPuglia318 591
10CataniaCataniaSicilia289 651
11TottoriTottoriCiugocu196 353

イタリア10大都市リストに紛れ込ませてみた。
最後に"Ciugocu"に至って、あれっと思うまでは、全く違和感がないだろう。
Ciugocuは、イタリア語で「中国」と発音するために、こう書くだろうという綴りに似せてみた。
ちなみにデータは順位、都市名、県名、地方名、人口の順になっている。

トットリときいて、鳥を取るのか取る鳥なのか、鳥取と書くのか取鳥と書くのか、その度に迷う私にとっては、トットーリ、イタリア (Tottori, Italia)のほうが書きやすいのは確かだ。

鳥取の皆様、誠に申しわけありません。
馬鹿なブログですので大目に見てください。

2012年12月25日

2013年のキリスト教移動祝日

今日はクリスマス、かなり暑い日だが、来年に思いを馳せよう。
キリスト教行事の中には、毎年、天体の月の動きに応じて移動するものがある。

年の後半にある、だれでも知っているクリスマスは12月25日、ブラジルでは死者の日(Finados)と呼ばれる万霊節は11月2日-これは日本ではハロウィンの2日後と言ったほうが通りが良いかもしれない-と決まっているが、年の前半にある宗教祝日は移動するものが多い。

2013年の移動宗教祝日を下に一覧表にしてみた。
復活祭の日、2013年ならば3月31日日曜日が、すべての移動祝日の基準になっていると言ってよい。
2013年の3月分点、つまり北半球の春分の日は3月20日、その次の満月の日は3月27日だ。

ブラジルで任意休日(ponto facultativo)になっている日と、特に休日になっていない日がある。
任意休日というのは、職種組合や職場によって、休日とするか勤労日とするか異なるのだが、大部分の勤め人にとっては、普通の休日と変わらない。

行事日の決まり方2013年休日種類
カーニバルCarnaval週末から灰の水曜日前日4日間2月11-12日月火曜日PF
灰の水曜日Quarta-feira de Cinzas復活祭46日前の水曜日2月13日水曜日14時までPF
四旬節Quaresma灰の水曜日から復活祭前日
枝の主日Domingo de Ramos復活祭7日前の日曜日3月24日日曜日
聖週間Semana Santa枝の主日から復活祭前日
キリスト受難日Paixão de Cristo復活祭の2日前の金曜日3月29日金曜日PF
復活祭Páscoa北半球春分の次の満月の次の日曜日3月31日日曜日
ペンテコステPentecostes復活祭の49日後の日曜日5月19日日曜日
キリスト聖体の日Corpus Christi復活祭の60日後の木曜日5月30日木曜日PF

2013年12月14日追加

ポルトガル語でクアレズマ quaresma と呼ぶ四旬節は、ポルトガル語の序数、「第40の」クアドラジェジマ quadragésima (形容詞の女性活用形)、元のラテン語ではアクセントがないだけのquadragesimaが語源になっているという。

ということは四旬節は40日でなければならない。
日本語でもその意味である。
日数計数については、wikipediaのLentにカレンダーを使って説明してあるのがわかりやすい。

四旬節の期間について、このブログに1年半にわたり、誤った情報をのせていたことがわかった。
上の表は正しくなっている。
ここで訂正しておわびいたします。

40という数字は聖書をみると特に意義のある数字である。
イエスが荒野で断食してサタンの誘惑と戦ったのが40日間であった。

2012年12月17日

世界破滅の日は影ひとつ無い日

夏至、というと北半球に住む人はびっくりするから、12月至点、といっておこう。
6月・12月、いずれにしろ至点(solstício)は、太陽が天球の赤道から最も離れる極大点だ。
それがあと数日後に近づいた。

12月至点には、太陽は最も南側の軌道をとる。
南回帰線だ。
ポルトガル語では、Trópico de Capricórnioという。
「やぎ座の回帰線」、現代では「磨羯宮の回帰線」と訳されるそうだ。
南回帰線上に住んでいる人には、この日に太陽が真上から射す。

南回帰線と北回帰線に挟まれた地帯、つまり熱帯では、太陽が天頂(同じゼニチでもブラジルポルトガル語でzênite、ポルトガルのポルトガル語でzéniteと書くそうだ、難しいものだ)を通る瞬間が年に2回あるはずである。
というので、わが家南緯19度で太陽が天頂を通る2012年11月16日にその写真を撮ろうとしたのだ。
洗濯物を干す針金からぶら下げたほうきの柄の影がどうなるか、結果は次のとおりだった。


全装置


影拡大

南回帰線であるが、サンパウロ市の北部を通る。
正確に調べたら、グアルーリョス(Guarulhos)市に立地するサンパウロ国際空港の敷地内、滑走路のすぐ南側を通っている。

ブラジリア夏時間(UTC-2) 2012年12月21日、この日は一部の人々には世界の終末と恐れられているようだが、南半球の大多数の人にとっては、毎年クリスマス前に来る夏至の日である。
9時12分が太陽の至点通過であるが、サンパウロにいる人は、昼になったら注意してみよう。
www.timeanddate.comによると、12月19日(南中13:04)から23日(南中13:06)まで、太陽の子午線通過最高高度は89.9度となっている。
日なたに出ると、自分の影が全く見えないはずである。


ここを南回帰線が通る

2012年12月15日

コリンチアーノのチーム愛

コリンチャンスのファン、これをブラジルではコリンチアーノ(corint(h)iano)というのだが、常軌を逸する努力をして訪日している。

12月のブラジルの空港は、日本を訪れるコリンチアーノでごった返している。
サンパウロ領事館発行のビザ発行数は急増した。

商店主ロドルフォ氏(Rodolfo da Fonseca)は、サンパウロの自宅改築を中止した。
その金は、日本行きの旅行に当てた。
彼は、いとこと一緒に、コリンチャンスの試合を見に行くのだ。

「テレビを売った。
ビデオゲームを売った。
金を手にしてから言ったんだ。
『俺は日本へ行く。異論は認めない。』」
彼は明かす。

「私の応援仲間友人は、質入れしたり、(胴元になって)くじ券を売ったりしたよ。職場の同僚もくじ券でかなり金を作ったわ。」
事務員ナタリア(Natália Rodrigues Zanotti)さんは語る。

このチーム熱愛のため、在サンパウロ日本大使館のビザ発行数は、2ヶ月で8500にのぼった。
この数は、普段の5倍に当たる。

ミナス・ジェライス州ポソス・デ・カルダス(Poços de Caldas - MG)のマルコス(Marcos)さんの家族は、旅行をあきらめた。
彼だけは、サポーターの信念を抱き搭乗する。
「チモン(timão 偉大なチーム、コリンチャンスの愛称)がチャンピオンになるのをこの目で見るんだ。
俺は優勝カップを取りに行くんだよ。」

商売を営むフェルナンド・コニシ(Fernando Konishi)さんの旅行トランクには、コリンチャンスのネーム入りの服しか入っていない。
彼は家族一同で日本へ行く。
チモンを見るために、10人家族全員借金をしている。

「後先考えず行動してしまう典型だね。
じっくり考えたらこんなことするわけがないだろ。」
彼は笑う。

コリンチアーノはグアルーリョス空港で搭乗する。
ここ数日は、サンパウロ国際空港は熱狂的サポーターの集合場所になってしまった。

「私はうれしいけれども、同時に悲しいの。
というのは私は行けないから。
わかるでしょう。」
主婦イザベル(Isabel dos Santos)さんは言う。

販売マネージャー・ヴァルミル(Valmir Domingues)さんは車を売った。
しかし息子たちを連れていくのにはお金が足りなかった。
彼らを説得するのに殺し文句を使った。
「お父さんは運がついているんだよ。
1977年から決勝を逃したことがないんだ。
今度もね。」

2012年12月8日

恐怖の陸の地引網

ポルトガル語のアハスタル(arrastar)という動詞は、引きずるという意味だ。

その名詞形のひとつ、アハストン(arrastão)というと、辞書には「引きずろうとする激しい力」とでている。
トロール網や底引き網のこともアハストンという。
根こそぎ漁獲する、という印象だ。

地引網を行なっている地方が今どこにあるのかは知らないが、砂浜で地区の漁民家族が大集合して網を引き、浜に上がってくる網を見ながら、どれだけ魚がいるか期待に萌える楽しみな時間だろう。
しかし最近はこの単語の意味に好ましくないものが追加されて、残念ながら頻繁に使われている。
リオデジャネイロのコパカバーナは砂浜で、地引網はないのだが、新しいアハストンはときどきニュースになった。
最近は警察見回りが強化されたのか、あまり聞かなくなった。
それでも、砂浜でない場所でアハストンは起きる。

サンパウロ市南部の日本料理レストランに強盗グループが入ってアハストンを行った。
4人の強盗はピストルと軽機関銃!(submetralhadora)で武装しており、レジの現金と客の持ち物を強奪して逃走した。

15人の客が被害にあったのは、金曜日早朝、サンパウロ南部の上流地区、モエマ(Moema)のZeni Sushi(銭寿司と書くのであろう)。
普段は大雑把なブラジルの記事にしては、通り番地まで書かれている。

記事の写真を見ると、客は若者ばかりで、日本人顔は見られない。
まあそれだけ、日本食が日系以外のブラジル人の間にも普及しているということだろう。
日本人がよく行く日本食レストランと、ブラジル人が好む日本食レストランは異なるという事情もある。

警察によると、強盗グループは黒いHyundai I30で乗りつけた。
犯人の一人が車で待機している最中、ピストルと軽機関銃を持った3人がレストランに入り、従業員と客を制圧した。

強盗団は、レジの現金と客の持ち物を奪い逃走した。
強盗団は、大胆にも目出帽など使わなかった、ということは(備え付けてあったならば)防犯カメラに素顔がとらえられているだろう。
現在のところ誰も捕まっていない。

これが困ったことに、現在の陸(おか)での地引網である。

(http://ultimosegundo.ig.com.br/brasil/sp/2012-12-07/grupo-faz-arrastao-em-restaurante-japones-na-zona-sul-de-sao-paulo.htmlを参考)

なお、アハストンの新しい意味には、良いものもあって、音楽や宗教行事などで浜や通りを埋め尽くした群衆が歓喜の中で行列することもさす。

2012年12月2日

名シェフの腕も間違いを起こす

サイトg1.globo.comの見出しは、
Brasil cai no 'Grupo da Morte', com Itália e México
「ブラジルはイタリア、メキシコと一緒の死のグループに入る」
http://globoesporte.globo.com/futebol/copa-das-confederacoes/noticia/2012/12/brasil-enfrentara-italia-na-ultima-rodada-em-salvador.html
とある。
日本の名はここにはない。
記事の中で10月の親善試合4-0が触れられている。
これについての論評はフットボールファンにまかせておこう。

コンフェデレーションズカップ2013ブラジル大会抽選会で何が起こったのか。
予告通り2012年12月1日、サンパウロ・アニェンビ展覧会場(Centro de Exposições do Anhembi)で、コンフェデレーションズカップグループ抽選会が行われたのだが、まれに見るゴタゴタを全世界に中継してしまった。

何がどう起こったのかビデオを見てみた。

既に報道されているように、
1. 同じフェデレーションの(つまり同じ大陸の)国は同グループに入らない
2. 開催国とワールドカップチャンピオンは同グループに入らない
3. 開催国ブラジルはA1
という規則から、
A ブラジル、イタリア
B スペイン、ウルグアイ
は確定しているのだが、イタリアがA2, A3, A4の中から、ウルグアイがB2, B3, B4の中からどれになるのかは抽選で決まるようになっていた。

ポット1とポット2から国名のボールをひくのはモデル Adriana Lima、ポットAとポットBからグループポジションのボールをひくのはシェフ Alex Atala、いずれもブラジルの魅力、美女とガストロノミーということで選ばれたのだろう。

最初はブラジルで、黄色のボール2つが、次にスペインを表す、赤色の2つのボールがひかれて、それぞれ既定のA1, B1に収まった。
次にアドリアナがポット1からひいた白いボールはウルグアイ、司会のFIFA事務局長Jérôme Valckeは「ウルグアイはスペインのいるBグループ」と言っていたのに、アレックスはポットAからボールを引いて渡してしまった。
ジェロームはウルグアイのポジションをボールに書いてあったA3と宣言したが、表示ボードにはB3と出た。

次はポット1最後のイタリアの白ボールだが、アレックスはポットBのボールを渡そうとしたが、注意されてAのボールを渡した。
あとでビデオをよく見ると、ジェロームは困惑し、アレックスは首を傾げていたようだ。
ここでジェロームは「間違いがありました」と言った。
イタリアはA4になった。

ポット2に移った。
最初はメキシコ、グループはAで、ジェロームはすでにウルグアイのときに間違ってひかれたA3のボールが手にあったので、それをあててA3となった。
これが2つ目の論点だ。
ウルグアイの抽選で間違いが起きたときに、A3のボールをポットAに戻すか、すぐに「最初にポット2からひかれる国にA3を当てる」と宣言するか、はっきりしておくべきだった。

2番目はタヒチ、グループはBで、BのボールがひかれてB3となった。
表示ボードにはB3にはウルグアイの名前が入っている。
ここでジェロームは「大きなミスをした」と言っている。
報道によるとフランス語でFIFA会長に謝ったという。

3番目は日本、グループはAで、AのボールがひかれてA2となった。
ポット2の最後4番目は、2013年2月に決定予定のアフリカチャンピオンで、Bグループに入り、B4となった。

ジェロームは「最初のパートに戻って、ウルグアイの確認」と言って、最後の余ったボールをひかせて、B2と宣言した。
この時点で、タヒチのポジションのB3が正式に確認された。

報道によれば、抽選会のリハーサルのときは、ブラジル、スペインに続いて3番目にイタリアボールがひかれたので、アレックスはポットAから3番目のボールをひいたらしい。
ポット1の最後はウルグアイだったので、4番目はポットBからひいて、結果的にリハーサルのポット1段階ではABABの順でボールをひくことになった。
多分このために、シェフのアレックス氏は、順番はABABとなるのだろうと思い込んでしまったのではなかろうか。
ポット2の段階では、ボールをひく順番はABABとなっているので、そう思い込んでしまってもしかたがないかもしれない。

本番ではブラジル、スペイン、ウルグアイ、イタリアの順だったから、グループポットは、ABBAの順になってしまい、アレックスは混乱したのだろう。
テレビ中継解説やインターネット記事などでは、腕の確かな名シェフの腕も間違いを起こしたとかからかっている。

この混乱も、今となっては訂正されて正式決定したからどうでもよいのだが、コンフェデレーションズカップはワールドカップの1年前の前哨戦であると同時に、大会運営サイドでもチェックをすることができる絶好の機会となっている。
ブラジルは後進国とか、運営がgdgdで心配だとか2chなんかではからかわれているようだが、この事故を十分に反省して、ワールドカップ本番の抽選会がうまく行けば良しとしようではないか。

チケット発売は次の月曜日、12月3日からとなっている。

Venda geral de ingressos para Copa das Confederações começa na próxima segunda
http://www.ebc.com.br/noticias/esporte/2012/12/venda-geral-de-ingressos-para-copa-das-confederacoes-comeca-na-proxima

2012年12月3日から2013年1月15日までオンラインで受け付けたチケット購入注文は、具体的に何をするのかわからないが、電子抽選(sorteio eletrônico)を行うことになっている。

2013年2月15日から4月7日までのチケット購入注文は、残りチケットに関して先着順に対応するという。

この期間後にも、6月15日から30日まで直近(当日?)の販売がある。
直近販売はFIFAページだけでなく、Belo Horizonte, Brasília, Fortaleza, Recife, Rio de Janeiro と Salvadorの会場の公式販売所で先着順に行われる。