2012年2月29日

連邦警察の体力検査は結構きつい

ブラジルでPolícia FederalあるいはDepartamento de Polícia Federal、略してPFあるいはDPFと言えば、泣く子も黙る?連邦警察(http://www.dpf.gov.br/)である。
軍警察(Polícia Militar)が公安、警備、交通などを担当、民事警察(Polícia Civil)が事件の捜査を担当するのだが、これらは州ごとに独立して存在する。
連邦警察が活躍するのは、政治・公安犯罪、国家・その各組織・公営企業の財産・サービス・利益を損なう犯罪、州境や国境を越えるような広域犯罪などの場面だ。
麻薬取引・密輸・汚職・組織経済犯罪などが対象である。

よくアメリカ(合衆国)刑事ものをみていると、事件が起きた時、普通の地方警察の泥臭い刑事が懸命に捜査をしているところに、横からしゃしゃり出てきて「これはFBIの担当になった」とか言って、美味しいところを持って行こうとする憎まれ役という印象がある。
本当はどうかはわからない。
ブラジルの連邦警察はそれと同じような位置づけになるのだろうか。

先週土曜日に見た記事だ。
PF quer agentes mais “sarados” SÁBADO, 25 DE FEVEREIRO DE 2012 Autor: Leonardo Santos
「PFはもっとムキムキのエージェントを求む」
何だこれは一体。

連邦警察は近く500名のエージェント(agente)と100名の鑑識要員(papiloscopista)を募集するという。
この募集では体力検査が以前より厳しくなると言われる。

最後に行われた採用試験では、合格するためには、2,400メートルを12分以内で走り、50メートルを41秒以内で泳ぐことが課された。
次回はこの基準がもっと厳しくなるという。

普通のおっさんでは合格しないのではないか。
普通の人では、PFのエージェントに追いかけられたら、まず捕まってしまうのではないか。

実証してみようと、ほぼ毎日、約7キロメートルをウォーキングとスロー・ジョギングで軽運動している私が、公園内のジョギングコースでこの基準に挑戦してみた。
普段は、息がほぼ平常なペース、だいたい1キロメートル7分以上には上げないのだが、今回は連邦警察の試験を受けるつもり!で強度を上げて走ってみた。
1キロメートルを5分で走らなければならない。
2400メートル12分1秒だった。

感想は、無理ではないけれどなかなか大変といったところだ。
水泳50メートルは遠慮させてもらう。
走って逃げても泳いで逃げても、連邦警察のエージェントにはすぐに捕まりそうだ。

このエージェント募集は、2014年のワールドカップ・ブラジル大会と2016年のオリンピック・リオデジャネイロ大会に備えて、国境警備を強化するために行われる。

2012年後半にはさらに600名募集、内訳は(捜査)署長(delegado)、事務員(escrivão)、鑑識官(perito)で、この職に課される体力検査はエージェントのものほどきついものでないと予想されている。

実際のところは、連邦警察職員を外で見かけることはほとんどない。
変装しているのかもしれないが、州警察と比べて人員はずっと少ない。
ときどき〇〇作戦(operação xxxx)とかで、組織犯罪者をいくつもの州でいっぺんに数十人も逮捕したりする。
そんな場面ではやることが派手だ。

普通の人がよく見るのはパスポート取得時と国際空港で、入国管理業務は連邦警察の職務になっている。

パスポートに押された、非常に味気ないブラジルの出入国スタンプには、DPMAF-DPF-BRASILと書かれている。
DPMAF - Divisão de Polícia Marítima, Aeroportuária e de Fronteiras(海空国境警察部)
DPF – Departamento de Policia Federal(連邦警察)

外国人も連邦警察にはお世話になる。
外国人登録は連邦警察の移民警察総合調整部が行うからだ。
外国人身分証明証(Cédula de Identidade de Estrangeiro)の発行機関(órgão emissor)欄には、
CGPI/DIREX/DPFと書かれている。

CGPI – Coordenação-Geral de Polícia de Imigração (移民警察総合調整部)
DIREX – Diretoria-Executiva(行政管理部)
DPF – Departamento de Policia Federal(連邦警察)

以前外国人登録の更新をした時の、連邦警察の事務員(上のescrivãoに当たる官職だと思う)の愛想のなさは驚きものだった。

申請書を記入して、指紋押印などを行うので、いろいろ話をしたり指示を受けたりしなければならない。
しゃべり方はぼそぼそして、ブラジルに着いたばかりで、ポルトガル語に慣れてない外国人には聞き取れないのでないかと心配になった。
指示はひどくぞんざいで、連邦警察の人間はみんなこうなのかと、あっけに取られていた。
それとも不法滞在や偽名登録などを防止するために、こわもてになるのかとも思った。

たまたま当日は私の誕生日だった。
全ての手続きが終わってから、ぶっきらぼうな連邦警察の事務員が最後に言った。
「誕生日おめでとう」

最初からずっと渋い顔をしてこらえてから(別にこらえているわけではないのだろうが)、最後の瞬間のこの一言はなかなか響く。
やはり書類に書きこまれた事項に目を通しているのだ。
泣く子も黙る連邦警察で、ほっとしたのが忘れられない。

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