2013年8月4日

2014年はW杯応援のついでにマリファナ体験旅行?

ウルグアイの下院が、マリファナ合法化案を可決したというニュースである。

来年のワールドカップでブラジル旅行を考えている向きには、ついでに隣国ウルグアイまで行っておおっぴらにマリファナを試してみようと、さっそく考える人がいそうなもので、新しもの好きな旅行社は、ブラジルワールドカップ応援旅行にオプションで、ウルグアイでのマリファナとカジノ体験旅行をつけるのでは、などと思ったのであるが、簡単にはいかないようである。

ウルグアイの下院は2013年7月31日夜、マリファナ(po. maconha 大麻)の栽培と売買をコントロールする政府機関の創設についての法案を可決した。
この法律により、ウルグアイ居住者は自宅や吸引者クラブでの大麻栽培や使用が可能となる。

ホセ・ムヒカ(José Mujica)大統領も支持する法案は、大麻の輸入、植付、栽培、収穫、精製、仕入れ、保管、販売、流通、つまり大麻のすべてを管理する政府機関の設立を定める。
法律によって、国立大麻院(Instituto Nacional de Canabis)を創設してドラッグの生産と流通を管理することになる。
違反者への罰則適用、大麻使用に伴うリスクについての教育ポリシー作成も行う。

  • 大麻を使用できるのは18歳以上のウルグアイ居住者で、登録(登録は公開されない)を行ったもの。
  • 一人一ヶ月40グラムまで薬局での購入、自宅での6株の大麻栽培が許可される。
  • 自分で植物の世話などできないという人には、45人までの会員で結成される吸引者クラブで99株までの共同栽培が認められる。
  • マリファナの宣伝、公共の場所での吸引は認められない。

13時間の議論に続く票決では、政府与党FA (Frente Ampla - 広大な前線党)の働きにより50名が賛成、46名が反対したが多数決で法案は通過した。
上院で与党は安定多数を確保しているため、法案の実現は確実視されている。

マリファナ合法案は2012年6月に、暴力犯罪対策の一連の法案の一つとして誕生した。
元左翼活動家のムヒカ大統領は、この法律によりマリファナの販売を厳しい方針のもとで統制すれば、密売組織を潰し、より些少な犯罪も減少できると期待している。
ウルグアイが麻薬観光地となることを避けるために、マリファナ使用はウルグアイ国民に限られる。
そう、これが大切な点だ。
ウルグアイ人と書いてある箇所もあれば、ウルグアイ居住者と書いてある箇所もあるが、多分後者であろう。

「国家による常習者へのマリファナ販売は、これまで世界のどこでもみられない画期的なものだ。」
フランスの薬物監視機関の研究者は言う。

他の国では、オランダ、スペイン、アメリカ合衆国のいくつかの州では、大麻の生産、クラブでの栽培、限定的使用がそれぞれ異なった形であるが認められている。

反対者はこのようなマリファナ合法化方針によって、ウルグアイ国民がより強力なドラッグ(コカインだろう)にのめり込むきっかけを与えるのではないか、また、ドラッグに関連する暴力対策に懸命になっているコロンビアやメキシコのような他のラテンアメリカの国々を刺激するだろう、と反論している。

ウルグアイはラテンアメリカで最も安全な国のひとつで、リベラルな法案の先駆者とみられている。
しかし最近の調査によるとウルグアイ国民の大半、63%はマリファナ合法化に反対している。

「私たちは火をもてあそんでいる。」法案反対派の保守政党Partido Nacionalの下院議員Gerardo Amarilla氏は言う。

「あなた達は(法律により大麻の)生産と販売を管理する。何か問題が起きればそれに対処することができる。
それともあなた達はいまの状態、つまりカオスが良いというのか?」
ムヒカ大統領与党側の法案賛成派下院議員Julio Bango氏は言った。

というのが記事のあらましなのだが、少し考えてみよう。

登録者一人につき自宅で6株栽培?
例えば、成人した子供が同居する4人家族は全員登録すれば24株の栽培が認められるのだろう。
栽培の違反はどうやってみつけるのだろうか。

ブラジルには熱帯病デング熱があって、その媒介体はやぶ蚊の一種であるので、カの撲滅のために市役所衛生課の見回り隊が各戸を訪問して、鉢植えの水皿、排水口、裏庭の空き缶や古タイヤ、手入れを怠ったプールなどにボウフラが湧いていないか、丹念に調べてまわる。
もちろん、住居の点検を拒否する住人もいるが、非協力が目にあまり、カの発生が非常に疑わしく、公共の安全を損なっていると考えられる場合には、司法の令状をとり、不在の場合には鍵を破壊してまで強制調査をすることもある。

この例にならうと、ウルグアイでは国立大麻院の職員が登録家屋を定期的に訪問して、既定株数を超過していないか検査するのであろう。
しかし、常用者登録をしていない家庭の場合はどうなのか。
やはり、未登録生産を防ぐために定期的に全戸訪問を行うのだろう。
国立大麻院は地方自治体に訪問検査を委託することになるだろう。

さて、栽培についてはこうしてしらみつぶし訪問で監視することはできる。
使用者についてはどうだろうか。

大麻使用者登録はウルグアイ居住者のみが可能だ。
しかしウルグアイ居住者への訪問者は?
これについては、大麻使用者一人ひとりに見張りをつけるわけにはいかない。

そこでこういった法くぐりは可能だろう。
「ウルグアイ・マリファナ体験旅行」ではなく、「ウルグアイ・ホームステイ」を募集するのだ。
もちろん、ホームステイ先の家族は、裏庭で合法的に大麻を植えている、正式な大麻使用登録者である。

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