2012年7月8日

ブラジルの宗教はカトリック一辺倒から多様化へ

IBGE(ブラジル地理統計院)の国勢調査による2000年から2010年の宗教人口の変化が発表された。

カトリック教徒(católico)はこの10年間に減少しているが、まだ人口の大多数を占めている。
2000年は1億2500万人だったのが、2010年には1億2330万人と減少した。
カトリック教徒のブラジル総人口に占める割合は、2000年73.6%から、2010年64.6%と、かなり減少した。
1970年に91.8%と、10人に9人はカトリックであった時代と比べると、その後退は大きい。

プロテスタント、つまりキリスト教の新教であるが、protestanteという単語はあるがあまり使われず、ブラジルではevangélicoといわれる。
福音(evangelho)派だけを指すのではなく、新教一般を表す単語とみてよい。
protestanteというとprotestarという動詞が想像されて、反抗とか支払拒絶とかいう意味が強調され気味になるからと思われるが、確かなことは知らない。

そのエヴァンジェリコは10年間で躍進した。
2000年に人口比15.4%だったものが、2010年には22.2%に増した。
人数では2000年に2620万人、2010年に4230万人であった。

2010年に無宗教者(sem religião)は人口の8%、心霊主義あるいはスピリティズム(espírita)は人口の2%を占めた。
少数派宗教としては、ウンバンダ(umbanda)、仏教(budismo)、カンドンブレ(candomblé)がニュースで上げられたが、信者を増やしているようだ。
ウンバンダとカンドンブレはアフリカに由来する。

ブラジル各地方と宗教の関連である。
北東部はカトリックが強く、人口の72.2%を占める。
北部は他地方と比べて、エヴァンジェリコが多く、人口比28.5%、南東部は心霊主義が人口比3%と他地方より多い。

州別では、ピアウイ州(Piauí)がカトリック85%と最も多く、エヴァンジェリコが多いのはロンドニア州(Rondônia)で33.8%、心霊主義者が多いのはリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で人口の4%を占める。

心霊主義というと、狂信、カルトなんかが連想されていかがわしいと思ってしまいそうだが、調査によるとこの信者は、他教と比べて最も所得が高く、高学歴だという。
ブラジル南東部という所得の高い地方に心霊主義者が多いということは、鶏が先か卵が先かはわからない。

信教の自由が保証されているもとで、カトリック一点集中から、無宗教を含む宗教の多様化へ向かった社会の変化が観察できる。

(http://globotv.globo.com/rede-globo/jornal-nacional/v/numero-de-evangelicos-aumenta-61-entre-os-anos-2000-e-2010/2018643/を参考した)

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