2014年9月11日

カタランについて語らん

今日はあの9.11、日本語ならキュウテンイチイチ、ポルトガル語で言えば普通にonze de setembroから13年目の記念日である。
あの頃から比べて世界はより平和になったかというとそんなことはなく、オサマ・ビン・ラディンなき今日には、IS などという新たな脅威が、これもポルトガル語では語順が逆でestado islamicoとなるが、勃発しており、憎しみの連鎖とはたやすく消えるものでないと実感させられる。

それはともかく、今朝Ottava試験放送を聞いていたら、バルセロナ(Barcelona)にお住まいのゆかさんだったと思うが、9月11日は「カタルーニャの日」でもあると言っていた。
ポルトガル語でカタルーニャ Catalunhaの形容詞形はcatalão、カタラン(あるいはカタロン)というが、カタルーニャについて語るのにカタランとは、なんてくだらないことを言っていると、かのOttavaプレゼンター本田聖嗣氏、ダジャレ好きのピアニストに馬鹿にされそうである。

先月末スペイン留学から帰ってきた姪が、数日前、家に寄っていった。

カタルーニャ州のタラゴナ(Tarragona)は、州の最大都市で知名度も最大のバルセロナから西方へ約80キロ位にある。
東京から小田原くらいの距離だ。
ローマ帝国時代からの古い歴史のある街で、水道橋、円形劇場などその時代の遺跡は、2000年にタラゴナの考古遺跡群としてユネスコの世界遺産に登録された、とWikipediaに書いてある。
姪は観光に行ったのではなく、タラゴナの大学に1年間留学をしていた。

ブラジルとカタルーニャでの授業の難易度は、予想外に向こうのほうが、スケジュールに余裕があったようで、授業は相対的に楽だったと言った。
また予想外であるが、苦労したのは言語だったという。
彼女が悩まされたのはスペイン語ではなく、カタルーニャ語である。
カタルーニャはスペインの一部ではないか?という声が聞こえそうなので、ここではスペイン語(es. español)と呼ばず、スペイン中心部カスティーリャ地方の言語、カスティーリャ語つまりカステリャーノ(es. castellano)と呼んでおこう。
そう、「日本」の形容詞形es. japonésが、同時に「日本語」を意味するように、カタルーニャの形容詞形es. Catalánは、カタルーニャ語のことだ。
今度こそ、カタランについて語らん。

日常会話とか学校の授業までカタランが使われるので、最初の頃は何を言っているのかよくわからず、カステリャーノに言い換えてもらったそうだ。
そのうち慣れてきてだんだん話すことがわかるようになってきたというが、流暢に話せるようにはならなかったという。
「だって、カタランってあの辺でしか話さないでしょう」と彼女は言ったが、まあそんなものだろう。

カタルーニャ語の話者は約322万人(2005年)、大阪市人口266.5万 (2010年)より多い。
けっこういるものだが、話される地域は、スペイン東岸からフランスの国境付近の地中海沿岸部の一地域にまとまっている。
関東の人間が関西の大学に入って、コテコテの関西弁がわかるようになっても、だからといって話せるようになるわけでない。
大阪とか京都とかより狭く区切ればなおさら違いにうるさい関西弁であるが、あの辺でしか話さない言語をうまく話せるようになるのは労多く益少ないのと同じようなものだろう。

方言レベルと言語レベルの違いがあるではないかと言うが、カスティーリャ語、ポルトガル語、カタルーニャ語の違いなどは日本のある地方の方言と共通語の違いより小さいと思ったりするのだが、どうだろうか。
イベリア半島の地図をみると、真ん中にでんと居座るスペインであるが、カスティーリャと付随する地方を中心とすると、西側の一片はポルトガル語を話すポルトガル、東側の一片がカタルーニャ語を話すカタルーニャとバレンシア、北側にはバスク語のバスクと、カスティーリャ語以外の言語を使う地帯に囲まれれている。

今日11日からちょうど一週間後の2014年9月18日には、スコットランドの連合王国からの独立の賛否を問う国民投票が行われる。
どうもこれまでと様相が異なり、独立推進が過半数を取りそうになっているので、中央政府はスコットランド詣でに慌てふためいている最中だ。

バスクは最近は平静になっているようだが、過激な独立運動がよく起きたし、カタルーニャもカスティーリャを中心とする(こう呼んでよいかわからないが)スペイン本体に、フットボールでのブラジルとアルゼンチンに匹敵する強烈な対抗意識を持つ。

連合王国内だけでなく、ヨーロッパ各地にあるこれら独立の意気軒昂な地方は、18日の結果次第では大きな独立の波を引き起こす可能性があり、成り行きが注目される。

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