2018年1月20日

コパカバーナのてんかんドライバー

(a) epilepsia 〔医学〕てんかん
epiléptico, ca 形 てんかん〔性〕の 名 てんかん患者

(a) convulsão ①痙攣、引きつけ②変動、激動、混乱

リオデジャネイロで一番有名な海岸はコパカバーナ、またはイパネマだろう。
2018年1月18日木曜日、夏時間宵の口、観光客や市民であふれるコパカバーナ海岸沿いのアトランチカ大通りを走っていた乗用車が、突然歩道に乗り上げ歩行者を巻き添えにしながら砂浜に入って、客で賑わう露店バーのすぐ横でようやく止まった。
18人が暴走車の巻き添えになり、ベビーカーに乗っていた8ヶ月の乳児が死亡、外国人ではオーストラリア人観光客が重傷である。

フランスのニースの惨事とは異なり、テロの可能性は元々ない。
しかし、コパカバーナの小惨事では、ドライバーにアルコール反応はなかったが、本人の申告ではてんかんの発作が起きていた。
警察の捜査では、このドライバーにいくつもの問題が指摘されている。

  • 過去5年間に多くの違反(主にスピード違反や信号無視)で62点を累積
  • 免停に達して、当局へ免許証預託の義務があるのに守らず
  • 免許更新時の問診票に、「常用する医薬品」、「高血圧、糖尿病、てんかん、心臓・神経・肺臓病の有無」、「これまでに気を失ったり痙攣したことがあるか」の質問すべてに無しと虚偽記載
  • 特に「常用する医薬品」については一度は書き込んだものの、黒く塗りつぶして訂正した

ときどき日本でも問題になる、てんかん持ちの人は運転できるのかという疑問が、ブラジルでも起きている。

昨日見たニュースでは、医師が診断して、「臨床的にコントロールできて」、最近1年(運転中に)失神したことがなければ、医師の許可のもとで運転免許は交付される、と言っていた。
そして、許可されるのはカテゴリーB(普通車)だけである、つまり、大型車も二輪車も運転免許はおりない。

以下BBC Brasilの記事からである。

最初に断っておくと、このドライバーは「アナキン(Anaquim)」と呼ばれる41歳の男性である。
アナキン・スカイウォーカーではない。
アナキンは名前ではなく、名字である。
スターウォーズ以外で初めて聞いた。

てんかん持ちの人は運転できるのかという問いへの答は、「はい」である。
しかし当然条件がある。

  • 直近1年に痙攣の発作が起きていない
  • 神経科医の診断意見書が、「状況を制御できていて、患者が医薬を規則的に服用すること」を保証している

ということで、ニュースで聞いた条件を裏付けている。

問題は、いくら診断意見書で運転可と判断しても、患者の規則的医薬服用が前提になること、てんかんの30%くらいは医薬でコントロールできない性質であることで、後者の場合は診断書で運転不可とされるべきものである。

人口の1.5%がてんかんの持病を持ち、リオデジャネイロ州だけで25万人がいて、そのうち8万人が耐医薬性であり、運転免許が交付されてはならないグループと考えられている。

問題点を整理しておく。
  • てんかんの診断は難しく、運転可否の診断は不十分になりがちである
  • 問診票はあてにならない

これから免許を取る・更新するものが、問診票に不利な回答を書くことは期待できない。
事故を起こしてしまうまで野放しという状態である。
今後は、問診票に虚偽を記入して事故を起こした者は、即免許取り消しとするような罰則的法律が作られない限り防止できない。
それにしても、本人と周りの人を巻き込む事故を起こすまで免許を持つことを許すのだから、社会に及ぼす潜在的危険が大きい。

日本でもブラジルでも、住んでいる場所によっては公共交通機関が不便・不快で、免許と自動車を所持していないと、特に年寄りや病人のような弱者にとって「生活の質」が悪くなるから、そのような者へ代替案を提案しないで、ただ免許を取らせないだけでは解決しない。

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