2019年6月6日

コンビニより多い弁護士

ブラジル政府が検討している銃器所有と携帯の緩和について、弁護士などに銃器携帯を許可したらとんでもない、と前回書いたのだが、ブラジルでどれだけ弁護士が多いか見てみた。

World Population Prospects 2017からダウンロードしたワークシートによると、
ブラジル人口推計値 2015年 205,962,108
日本人口推計値 2015年 127,974,958
である。

上の人口に、ブラジル弁護士会からの大雑把なブラジルの弁護士数110万を、データの年が多少違っているのは無視して、除算してブラジルの法曹一人当たりの国民の数を求めると、187人となる。
弁護士ドットコムキャリアのサイトの弁護士の人数の推移と今後のシミュレーションによると、「平成13年に18,246人であった弁護士の数は、平成27年3月31日時点では36,415人にまで増加」とある。
同ページにある、各国の数字と比較している表に入れてみる。

法曹一人当たりの国民の数による比較
法曹人口 法曹一人当たりの国民の数
日本 36,415 3,514
ブラジル 1,100,000 187
アメリカ 941,000 290
イギリス 83,000 710
ドイツ 111,000 740
フランス 36,000 1,640
注:引用元データに対して、日本のデータ差し替え、ブラジルのデータ追加

これはすごいぞ。

データ元サイトの解説に従って一言注釈をつけると、日本には司法書士や行政書士、社会保険労務士等のような、隣接法律職と呼ばれる職業が存在するが、諸外国には、このような隣接法律職が存在しない国も多い。
米国もブラジルもこのような細分化した隣接法律職は存在しない。
そのような職業人が含まれた大きな数字がブラジルや米国であり、含まれない小さい数字が日本のものである。
その結果、何でもかんでも弁護士である。

そしてブラジルも米国も訴訟社会である。
ブラジルの特徴としては、労使関係に特化した労働裁判所があって、労働裁判というジャンルがある。
労働組合対企業組合のような大集団の紛争もあるが、大部分の訴訟の係争金額は少なめのことが多く、労働弁護士は訴訟の数で勝負する。
単に弁護士数の大小だけ見て、その過剰・不足を語ることはできない。

さて、ブラジルにコンビニは、あまり普及していない。
夜間ワンオペのような運営だと強盗被害にあいやすい、労働法や労働組合の力が強く、夜間労働を強いるコストが高い、何が何でも身近なコンビニで用を足すという考えがブラジル人にはない、いろいろコンビニが普及しない理由は考えられる。

日本にはコンビニがたくさんあるような印象を持っている。
外国から見るとそう見えるのかもしれない。
たくさん乱立しているように見えるのは、大都市の一部分かもしれない。

コンビニ店舗数の現状をさぐる(2018年7月時点)で不破雷蔵氏が、日本フランチャイズチェーン協会が公開している資料を基に計算したデータがあり、年度ベースでのコンビニ店舗数の最新値は2016年度分で、全体で57,818店とある。

先の国連のサイトの人口2015年推計値から計算すると、日本のコンビニ一店当たり人口は2,213人となる。

日本でもっと身近にたくさんあるのが自動販売機である。
これがブラジルで少ないのは当然理由がある。
昔はインフレが激しく、機械を価格調整したり新貨幣に対応させたりする手間が、自動販売機による省力より面倒だったのかもしれない。
現在では当然、人気のない場所の自動販売機が無傷である日本と段違いの治安の悪さのせいで、ブラジルの危ない場所では、機械が一日ともたない恐れがあるからだろう。

ITmediaニュースの自販機の普及台数、年間500万台を割り込む 販売効率重視でによると、2016年の自動販売機の普及台数は494万1400台ということなので、同様に一台あたりの人口を計算すると26人である。
さすがにこの数の多さには、ブラジルの弁護士数でも勝てない。

珍しい、つまり人口割の数が少ない順に並べてみる。
日本の弁護士 3,514人に一人
日本のコンビニ 2,213人に一店
ブラジルの弁護士 187人に一人
日本の自動販売機 28人に一台
表を組んでみて、一体弁護士とコンビニの数の比較に何の意味があるのか馬鹿らしく感じてきたが、貴重な結論である。
日本社会の身近なものと比較してみると、ブラジルの弁護士は日本のコンビニより、出会う確率は12倍も多いが、さすがに日本の自動販売機と比較すると六分の一くらいである。

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