2019年6月23日

文盲から大学まで

2019年6月19日のニュースで流していた、最近のブラジルの教育事情の統計値である。
調査はブラジル統計地理院(IBGE)による、2018年の数字である。
以下はいずれもブラジル国民の(国内居住の)25歳以上の者に関するものである。

元ニュースで「修了していない incompleto」という表現は、100%から減算して、全て修了した割合に変換した。
Analfabeto非識字6.8%
Ensino fundamental completo前期中等教育修了66.9%
Ensino básico completo後期中等教育修了47.4%
Ensino superior completo高等教育修了16.5%
非識字の実数は全ブラジルで1,130万人
単語ensinoが同義語educaçãoとなると、後ろにつく形容詞の性別が変化するが意味は同じ
Ensino fundamentalは9年修了(6-14歳)、国際標準教育分類の前期中等教育まで
Ensino básicoはその9年を含む12年、国際標準教育分類の後期中等教育まで
Ensino básico completoの割合は、ブラジル北東地方だけでは38.9%まで落ちる
高等教育は大学・専修学校などで、その74%は私立で、残りが公立

各国で違う教育制度を分類するために、国際標準教育分類 ISCED - International Standard Classification of Educationというのがあるが、改定するたびに以前と異なって、わからなくなるばかりだ。

さて、少し調べたら奇妙なことがみつかった。

ユニセフ(UNICEF)が出版する「世界子供白書2017」という日本語の資料がある。
その表5:教育指標をみると、国ごとの様々な指標が示されている。
カタカナ表記だがアルファベット国名順にソートされていて、少しわかりにくいが、ブラジルはBだからかなり前の方に出てくる。

15-24歳の識字率が男98%女99%とは、びっくりである。
この数字があと50年継続したのならば、74歳までの人口の99%が識字できるようになるではないか。
信じていいのか?
今は農村地区にもインディオ居住地にも小学校はあるから、信じてよい根拠はある。

同じ資料によると、前期中等教育の純就学率が男女平均で78%(2011-16)と、話が違うぞ。
67%じゃないのか?

しかし直近のIBGEによる2018年の数字でこれだけ中途退学、それも初級からの脱落が多いということは、ポルトガル語学習が不完全なままで学業をやめてしまう子供や若年が多いということであろうから、15-24歳の識字率99%という数字は、信用できないものかもしれない。

成人の識字率調査が困難なことはわかる。
この日のニュースでは言及されなかったが、analfabetismo funcional 機能的非識字といって、自分の署名をできるからといっても、完全に読み書きができるわけではないのだ。
「あなたは文盲ですか?」という聞き方はないだろうから、「字を書けますか?」と聞かれたとき、読み書きはできないが、人に書いてもらった手本によって自分の名前をかろうじて書けるに過ぎなくても、「書けます」と答えるだろう。
国勢調査などの訪問調査員が「今から私の言うことを書いてみろ」などと、確認の試問などするわけがない。
そこは自信満々のブラジル人である。
書けますと肯定しても嘘ではない。

左官仕事などの領収書に署名を求めると、「拇印ではだめかね?」と言われることもあるし、そんなときには後からだまされたなどと難癖つけられないように、書かれた文章を朗読してやって「これでいいかね?」と念を押して、特に数字を見てもらってから拇印を押すことになる。
文章を読めない人から見れば、これは白紙領収書に拇印を押すようなものかもしれない。
証人がいない限り、朗読する相手を信じるしかない。

日本の数字が出ていないが、そもそも就学率が100%と全員就学だから、調査しなくても100%とみなしているらしい。
「分数がわからない大学生」がいると聞いたので、現在の日本の若年がみな文章を読めるものか、こちらも怪しいものだ。

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