2011年6月21日

車内の小銭が消えるのはなぜ?

サンパウロでは、レストランやバーには、必ずと言っていいほどマノブリスタ(manobrista)というサービスがある。
これは、客の乗ってきた自家用車を入り口で預かり、運転手が安全な駐車場まで代わりに運転して保管するという仕事、そしてその仕事をするドライバーのことを指す。
サンパウロのこのサービスの相場は平均10レアルである。

取材記者は車に次のような仕掛けをした。
クマのぬいぐるみ、箱に入ったチョコレートボンボン、ボールペン、口のあいたビニール小袋に入った小銭20レアル分、色々なものを入れた布製バッグ、それから隠しカメラだ。

10ヶ所へ持っていき、マノブリスタの行動を撮影した結果は、情けないことに、8ヶ所で何らかのものが盗まれていた。
一番人気は小銭で、さすがに袋ごと全部持っていく者はいなかったが、中には行きと帰りで2回くすねた者もいた。
次の人気はチョコレートで、その場でさっそく食べ、ごまかすために箱の位置を変えていた。
車を預けた時から箱の場所が変わっていたらかえってバレてしまうと思うのだが。
マノブリスタの仕事を仲間?に下請けに出す者もいて、鍵を受け取って下請けした男は、小銭をくすねてからトランクまで調べ、結局小銭以外は盗らなかった。

以上は先週6月16日のTVニュースから

盗む-自分のものでないものを不当に自分のものにするということに対する自制が足りない、酷いなーブラジルの民度は、と落胆する前に少し考察してみた。

ブラジルだけでなくどこでも旅行する場合に、ホテルの部屋に貴重品を置かずにセーフティボックスやフロントに預けるのが海外旅行者の注意となっている。
睡眠のために一部屋を借りるホテルは、確かに夜の時間はプライベートなスペースだ。
宿泊者が在室の場合、誰も勝手には入れない。
しかし、日中宿泊者が外出している場合、清掃やベッドメイクなどのために、ホテルの従業員は鍵で開けて客室に入り一人で仕事をする。
客室は公共のスペースと同じセキュリティレベルに下がる。
誰の目にも触れるところに置いたお金が消えても、誰も責任を取らないと、しっかり断り書きがしてある。

自分の愛車であっても、その鍵を他人の手に委ねたら、そこはもう公共のスペースとなる。
いつもの教訓が生きる-シートの上など眼に見えるところに決して物を置くな、泥棒や強盗を引き寄せる-これはマノブリスタに自分の車を預けるときにも当てはまる。

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