献血 Doação de sangue
久しぶりに献血をした。
これまで数回行ったことのある献血は全て日本で、200ml時代のものだったので、400mlをいっぺんに抜かれるのは初めて、しかもブラジルで献血も初めてであった。
かなり期待と不安の混じるできごとだ。
献血の動機であるが、大学生の息子のある教授が、献血したら6点加算という取引?があったので、息子とその友人を血液センターへ連れて行くことになり、それだったらブラジルでも献血してみようという気になったからだ。
献血人登録は、係員と対面し、氏名・住所・身分証明書番号などのごく通常の項目を読み上げ、係員が直接コンピュータへ入力するのだが、目の前に一枚カードが置いてある。
それには次のように書いてある。
「あなたの色はどれですか?」Qual é a sua cor? という質問に対し、次の選択肢がある。
1 黒色 negra
2 褐色 parda
3 白色 branca
4 黄色 amarela
5 インディオ(色) indígena
6 表明したくない não quer identificar
国勢調査用語では、黒色を表現するのはpretaであるが、この場面ではnegraを使っている。
インディオって色の名前か?と思うのだが、選択肢1から4まで全て、色(cor 女性名詞)にかかわる女性名詞あるいは修飾する形容詞だから、インディオのような色ということだろう。
そして、この項目だけはカードを見て、係員には番号で回答するようになっている。
もちろん係員もカードを目の前にしているのだから、黙って指で指し示しても良いわけだ。
回答が周りの人にさとられにくいこと、さらに選択肢6があることからみると、この質問はある人にとっては答えるのに抵抗を感じる、微妙な性質であるのだろう。
献血(血液)と肌の色の関係の医学的な意味は、私には全くわからないのだが、この設問と回答法は、ブラジルの人種問題の複雑さと根強さを感じさせるできごとではある。
採血前に軽食が出て、400ml血を取られてもふらふらしたりすることなく採血は平穏に終わり、再び軽食が出て終了である。
息子の血液検査結果が先に郵便で届いた。
(ABO)血液型 Grupo sanguineo, Rh因子の他に、肝炎 Hepatite, ヒト免疫不全ウイルス Hiv, シャーガス病 Chagas, 梅毒 Sifilis, ヒトTリンパ好性ウイルス Htlvについての結果が書かれている。
人種調査といっても献血者の自己申告であるし、混血が進めばどこで色の違いの線引きをすればよいのかが曖昧になってくる。
その厳密さの程度は、同じく自己申告である国勢調査と同様である。
献血人の肌の色聞き取りから、先にあげた病気の疫学的調査を関連させて、なにか有効な結果が出るのだろうか?
しかもそれが公表されるのだろうか?
けっこう疑問が残る。
もう一つ日本の献血と異なることであるが、ブラジルでは上記の通り、献血人はHIVの検査結果を文書で受け取る。
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