2013年5月25日

ブラジルでは大卒の給料はそうでない人の3倍

2013年6月5日 誤ったタイトル変更

なぜなら、大卒(院を含む)でない人には、高等学校卒業だけでなく基礎教育課程未修了(つまり小学校未卒)まで含むからである。

わかりやすく整理すると、ブラジルの学校はそれぞれ、
大学=高等教育(ensino superior, 18+)
高等学校=中等教育(ensino médio, 15-17)
小中学校(分離していない)=基礎教育(ensino fundamental, 6-14)
に相当する。

IBGE divulga números do mercado de trabalho no Brasil
http://g1.globo.com/jornal-nacional/videos/t/edicoes/v/ibge-divulga-numeros-do-mercado-de-trabalho-no-brasil/2594955/

今日ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した、労働市場についての調査結果が興味深い。

ブラジルでは大学卒業者はそうでない人の3倍以上の給料をもらっているという。
IBGEによると、高等教育課程未修了者(sem nível superior)の平均給与が1,295レアルに対して、高等教育課程修了者(com nível superior)の平均給与は4,135レアルであった。

1ドル=100円=2レアルの簡易換算を行うと、1,295レアルと4,135レアルは、それぞれ64,750円と206,750円になる。

さて、興味から、この給料を購買力平価でみるとしたらどうなるのだろうか気になり、Big Mac価格で変換してみた。
日本は330-360円の平均をとり345円、ブラジルはR$11.25を使った。
R$1,295とR$4,135は、それぞれ39,713円と126,806円になる。
つまり、レアル安BigMac高、円高BigMac安の作用が働いている。

簡単に説明すると、ブラジルではMcDonaldはまだまだ大都会のショッピングセンターの花形店のステータス、日本ではファストフード企業間競争に揉まれたスリムな値段ということだ。

ニュース報道では、ある匿名企業の例をあげている。
中等教育(ensino médio)、つまり高校過程卒業者であったら、この会社でencarregadoまで出世できて、給料は5千レアルにまでなる。
encarregarというと、辞書には委ねる、負わせるという意味の動詞と出ている。
その過去分詞形だから、(責任を)委ねられたもの、負わせられたものという意味で、まあ責任者という意味である。

いい給料であるが、これより上に上がるには高等教育課程つまり大学卒業の学位が必要である。
そうすると、給料は2万レアルまで届くことが可能になる。
役職名は報道では明らかにされなかったが、この給料だったら役員クラスである。
現実には、大卒が誰でも役員になれるわけがないのは、世界のどこも同じだ。

サンパウロ大学経済経営会計学部(FEA-USP Faculdade de Economia, Administração e Contabilidade da Universidade de São Paulo)のHélio Zylberstajn教授は次のように説明する。
「ブラジルでは良い労働者、質の高い労働力が不足している。
(労働)市場は教育の価値を認め、市場は教育へ対価を支払う。
ブラジル人はそれを知っているから、親たちは子供を大学へ入れたがる。
教育は、社会における出世の原動力である。」

大学課程修了者の全就業者に対する割合は年々上昇している。
2010年に大学卒業者は全体の16.5%であったが、2011年には17.1%まで増加した。
でも82.9%が大学卒業に達していない。
大ざっぱに計算して大卒者は6人に1人だ。

昔から日本人移民や日系ブラジル人は教育熱心で、子供を大学へ入れるのを人生の目標であるごとく、そのためにはなんでも犠牲にするとか言われてきた。
自分が言語などで苦労を味わったから、子供には苦労の少ない良い生活を送ってもらいたいという親心である。
実際に、大学生の中の日系人比率は、住民全体の日系人比率と比較してかなり高いことはよく知られている。
先の教授は、ブラジル人一般が大学教育の価値を重要に捉えていることを指摘したが、昔から子弟の教育を第一に置く日本人移民には、自分自身の苦労した私的体験が基になっているとはいえ、やはり先見性があったと言うべきである。

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