2019年11月21日

フラメンギスタのリマ巡礼

11月となると、ブラジレイロン(Brasileirão)と呼ばれるフットボール(サッカー)のブラジル選手権(Campeonato Brasileiro)が終盤にかかっているが、2019年はフラメンゴ(Clube de Regatas do Flamengo)が断トツ1位を走っている。
クラブの正式名からわかるように、元々はレガッタのクラブから発したようだ。
フラメンゴはリオ市内の海岸の地名である。
燃える理由はブラジレイロンだけでなく、アルゼンチンの名門リーベル・プレート(正式名はクルブ・アトレティコ・リーベル・プレート Club Atlético River Plate)とリベルタドーレス(南米クラブ選手権)の決勝を戦う日が近づいている。
2019年11月23日、今週の土曜日である。

当初この決勝戦はチリの首都サンティアゴで行われる予定だった。
しかし、確か数円か数十銭の地下鉄運賃値上げから発して拡大暴徒化している反政府デモのために、世界環境会議開催地もこの都市からスペイン・バルセロナに変更されて、環境少女グレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)が再び飛行機を使わないでどうやって大西洋を越えるか困る状況に陥ったのだった。
この子は、キロメートル・人だったか、距離と輸送重量の積の単位当たりで計算すると飛行機の燃費が非常に優れることを聞いていないのだろうか?

グレタ少女のことはともかく、同じような目にあった人が数千人いるのである。
リベルタドーレスの決勝戦がチリのサンティアゴからペルーのリマへ変更されて、航空券の変更手配や、その他、主にバスでの陸路旅行計画に右往左往するフラメンゴのサポーター、フラメンギスタ(flamenguista)である。
この有名なチームがリベルタドーレスに優勝することになったら38年ぶりだというので、連中は苦労しながらも旅行準備に嬉々としている。
スペインのサンティアゴ(Santiago de Compostela)は巡礼で有名だが、チリのサンティアゴ(Santiago de Chile)ならぬペルーのリマで願いが実現する瀬戸際なのだ。

ブラジルからサンティアゴへ応援しに行く予定だった数千人、アルゼンチンの敵チームの連中も含んだら、ことによると数万人の目的地が土壇場でリマになったのである。
記憶に間違いがなければサンパウロからサンティアゴへ国際バス定期便があったはずだか、リマへ路線バスが出ているという話は聞いたことがない。
飛行機はかなり臨時便が出ていると思うが、バスを借り切るグループも多い。

南アメリカ大陸とヨーロッパ大陸が異なる点がいくつかある。
ヨーロッパ大陸のように、鉄道や道路で容易に隣国へ渡れるところばかりではない。
南アメリカ大陸は大きな盆地のようで、内陸に広大な熱帯雨林(北の方)や乾燥地帯(南の方)があり、人口密度が極めて低く、陸上交通の便が悪いし、水上(河川)交通は時間がかかりすぎる。
一つ一つの国土が欧州より大きい。
旅客列車が走れる鉄道網は皆無で、網が粗い道路網は保守が悪い。
だから南米大陸は海岸沿いで行ける縦断はともかく、横断を陸路で行うのは相当覚悟が必要だ。
ブラジルとペルーは隣国だが、道は遠い。

飛行機の直行便が取れなかった人や、貸し切りバスで移動する人のルートを南アメリカ地図上で見ると、いずれも大迂回の大旅行なのである。
陸路の最短距離を取ろうとするとボリビアを横断しなければならないが、現在大統領選挙結果が疑問視されて混乱しているこの国を避けて旅行しなければならない。
こんな目的の長距離旅行をすることは自分にはないだろうが、面白いのでニュースで紹介されたいくつかのルートを記録する。

  • 国内線2つを国境陸路越えで結ぶ
    Rio de Janeiro-RJ -(飛)-> Rio Branco-AC -(チャーター車で国境越え)-> ペルーPuerto Maldonado -(飛)-> Lima
    車で国境越えと簡単に言っても今見たら570キロもあるでないか、多分1日旅程
  • 全行程貸切バスのボリビア南迂回ルート
    Rio de Janeiro-RJ -> Foz do Iguaçu-PR -> アルゼンチン国土通過 -> チリ国土通過 -> ペルー入国 -> Lima
    一番道路状況が良さそうな陸路
    でも月曜日出発でリマ到着は金曜日予定、つまり5日の旅
  • 全行程空路
    ペルーに比較的近い内陸部に住んでいるから、航空運賃が多少安くなるのではないかと思うと裏切られる
    直行ルートがないので地図を見るとぐるっと半回転して距離を稼いでいる
    Palmas-TO -> São Paulo-SP -> Foz do Iguaçu-PR -> Lima
  • 全行程貸切バスのボリビア北迂回ルート
    Rio de Janeiro-RJ -> São Paulo-SP -> Campo Grande-MS -> Cuiabá-MT -(やっとこの辺りが旅程の中間)-> Porto Velho-RO -> Rio Branco-AC -(ブラジル・ペルー国境)-> Puerto Maldonado -> Cusco -> Nazca -> Lima
    悪路に立ち向かうこのグループは既に昨土曜日にリオを発っているから、7日がかりの楽しいバスの旅である

陸路は5千キロないし6千キロの距離がある。
当然だが心の洗われる巡礼の後には、みんな帰ってこなければならない。
貸切バスの人たちは往復料金だから、余分な金を払う気がなければ、嫌になっても帰りもバス旅である。

興味のある人は次の動画を見ると良い(2019/11/18放送、ポルトガル語約3分、前に宣伝あり)
既にペルーのリマへ向かっているフラメンゴのサポーター
Torcedores do Flamengo já estão a caminho de Lima, no Peru

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