2021年11月21日

伝統的なポルトガル語文法の性別不平等

中性ポルトガル語についての話を続けよう。
文法の中にある男女不平等である。

英語の場合には代名詞の三人称単数には男性・女性の区別があっても、複数形は we, you, they の中身がどういった性別構成かは全く気にしなくてよいはずだ。
スペイン語やポルトガル語のような、複数形においても男性形・女性形が異なる言語で、実際の性別構成によって語形がどう変化するかという問題である。

二人称複数形は教会の中でしか聞くことがないものとして除外すると、ポルトガル語では三人称複数(eles, elas)の場合に、スペイン語では一人称複数(nosotros, nosotras)と三人称複数の場合(ellos, ellas)にこの問題が出てくる。

100人の男性がいるときは男性形のeles、100人の女性がいるときは女性形のelasを使う。
ここまではすんなり納得できる。
これが男女混成のグループになると、否応なく男性形のelesを使うものだと習った。
たとえそのグループが99人の女性に1人の男性が入っただけの99%女性のグループであっても、使う代名詞はelesと男性形になる。

一般名詞でも同様である。
父はpai、母はmãeであるのに、両親はpais、教室に10人の女子生徒と2人の男子生徒がいる場合も、区別しないで全体を一語で呼ぶ場合には複数男性形のalunosになるといった具合である。

さてここで、今のところは誰も言い出していないようだが、中性ポルトガル語運動を推進する人たちがはたと気づいて、男女同権であるべきだから従って言語も、バイナリーでない人が含まれた場合はもちろん、含まれていなくても、男女混合したグループの複数形は複数中性形にすべきであると主張し始めることを密かに恐れている。

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