2025年1月31日

2025年のキリスト教移動祝日

米国のカーニバルで有名なニューオーリンズのサイトがあって、2061年までのMardi Gras(マルディ・グラ)の日付がここでわかる。
Mardi Grasとはフランス語で「肥えた火曜日」と言う意味というが、ブラジルでは普通にTerça-feira de Carnaval「カーニバルの火曜日」と呼ぶ日である。
カーニバルがキリスト教行事かというと巨大な疑問であるが、少なくとも日付の決め方だけは教会に従っている。
有り体に言えば、謝肉祭というくらいだから、カーニバルで現世の喜びを十分に満悦してから、心置きなく襟を正して四旬節の節制に臨む、という意味をつけられる。
とにかく、キリスト教行事の中には、毎年、天体の月の動きに応じて日付が移動するものがある。

年の後半にある、キリスト教関係で一番有名な日であるクリスマスは12月25日(ブラジルの祝日)、ブラジルでは死者の日(Finados)と呼ばれる万霊節は11月2日(ブラジルの祝日)―これはハロウィン(10/31)-万聖節(11/1)-万霊節(11/2)と続く一連であるが、前の2つは祝日ではない―と、毎年同じ日付に決まっているが、年の前半にある宗教祝日は移動するものが多い。
そのためにクリスマスと並び大切な日と考えられる復活祭については、決まった日付がないため、3月ころとか4月ころとか言うだけで、毎年調べて意識しないと特定できない。
ただしその日付の決め方から、毎年月日は変わっても、当然曜日は変わらない。

2025年の移動宗教祝日を下に一覧表にした。
復活祭の日、2025年ならば4月20日日曜日が、一連の移動祝日の基準になっていると言ってよい。
2024年より20日も遅くなる。

復活祭の日付の決定方法について過去の記事に説明した。

待降節(Advento)は、クリスマスに備える期間であるが、その第一日は日曜日に決まっていて、11月30日の「聖アンデレ(Santo André)の日」に最も近い日曜日からクリスマスイブまでの約4週間で、最も早い年で11月27日、遅い年でも12月3日に始まる。
アドベント期間には必ず4つの日曜日が含まれる。
2025年は、11月30日、12月7日、14日、21日の4つの日曜日の後、25日クリスマスは木曜日に当たる。
このように、天体の月の動きによって大幅に日付が前後する、年の前半の移動祝日とは、その決め方が全く異なる。

行事日の決まり方2025年休日種類
カーニバル
Carnaval
週末から灰の
水曜日前日4日間
3月3日,3月4日
月火曜日
PF
灰の水曜日
Quarta-feira de Cinzas
復活祭46日前の水曜日3月5日水曜日14時までPF
四旬節Quaresma灰の水曜日から復活祭前日
枝の主日
Domingo de Ramos
復活祭7日前の日曜日4月13日日曜日週末
聖週間Semana Santa枝の主日から復活祭前日
キリスト受難日
Paixão de Cristo
復活祭の2日前の金曜日4月18日金曜日FN
復活祭Páscoa北半球春分の次の
満月の次の日曜日
4月20日日曜日週末
ペンテコステPentecostes復活祭の49日後の日曜日6月8日日曜日週末
キリスト聖体の日
Corpus Christi
復活祭の60日後の木曜日6月19日木曜日PF
ぽつんと年末に孤立、月日の決め方も異なる
待降節初日
Início do Advento
11月30日に最も近い日曜日11月30日日曜日週末

ブラジルで国定祝日(feriado nacional - 上表ではFN)、任意出勤(ponto facultativo - 下表ではPF)になっている日と、特に休日になっていない日がある。
任意出勤というのは、条例や労使協定によって、地方自治体、職種組合や職場ごとに、休日とするか勤労日とするか決められる。
大部分の勤め人にとっては、普通の休日となることが多いが、商店は営業するところと休むところがある。

2025年1月14日

2025年のブラジルの祝祭日

連邦政府の公共サービス運営・革新省(Ministério da Gestão e da Inovação em Serviços Públicos)は、2025年の祝日と任意出勤についての通達Portaria MGI Nº 9.783, DE 27 DE dezembro DE 2024を2024年12月30日付官報に掲載した。
役所の名前は去年と同じである。
他の省庁に吸収されて、去年の名前がなくなっているようなことは起きなかった。
下の表はその中身である。
条文に断っているように、本来の目的は連邦行政官庁や国営企業の休日を定めたものである。

一連のキリスト教関連の移動休日は、2024年より20日も遅くなる。
たとえば2024年のキリスト受難金曜日は3月29日であったが、2025年は4月18日である。

11月1日Confraternização Universal世界友好の日FN
2,33月3日,4日月火CarnavalカーニバルPF
43月5日Quarta-Feira de Cinzas灰の水曜日14時までPF
54月18日Paixão de Cristoキリスト受難の日FN
64月21日TiradentesチラデンチスFN
75月1日Dia Mundial do Trabalho世界労働の日FN
86月19日Corpus Christiキリスト聖体の日PF
96月20日PF
109月7日Independência do Brasilブラジル独立の日FN
1110月12日Nossa Senhora Aparecidaアパレシーダ聖母の日FN
1210月28日Dia do Servidor Público federal連邦公務員の日
27日に祝われる
PF
1311月2日Finados死者の日FN
1411月15日Proclamação da República共和制宣言の日FN
1511月20日Dia Nacional de Zumbi e da Consciência Negraズンビと黒人自覚の国定日FN
1612月24日Véspera do Natalクリスマスイブ13時からPF
1712月25日NatalクリスマスFN
1812月31日Véspera do Ano Novo大晦日13時からPF
注:FN = Feriado Nacional 国定祝日、PF = Ponto Facultativo 任意出勤
任意出勤とは、職種や企業や自治体によって働くか休むかが決められる日である。
各人が勝手に自分の都合で出勤したり欠勤したりして良いという意味ではない。

昨年の連邦政府による祝日一覧と比較して、祝日の数は同じ18である。
そして、年々キリスト教祝日のいくつかの日付が移動するが、2025年はこれがうまい具合につながる。
聖週間の祝日つまり4月18日(金)の受難日から20日(日)の復活祭のすぐ後に、ブラジル独立に功績のあった人物の歴史的記念日である4月21日がすぐあとの月曜日に来て、土曜日に仕事がなければ4連休となる。
一応書いておくと聖土曜日19日は正式には祝日になっていない。
このような連休はめったに起きないだろう。

2025年祝日の残念な点であるが、9月から11月にかけて3つの祝日が日曜日に重なってしまうことだ。
ブラジルに振替休日はない。

16番と18番のクリスマスイブと大晦日の任意出勤は、前年までは14時から任意出勤であったのか、13時からへ早まっている。
14時からであると、昼食の休憩が13時に終わってから中途半端に1時間働かなければならなかったものを、13時とすれば、午前中仕事したら昼食を取らずに休みに入って良い、と現実に即したのであろう。

9番に何の説明もないのは去年と同様である。
突然、日付と ponto facultativo と書いてあるだけなのだ。
木曜日の祭日と週末の土曜日の狭間を連結して連休を作る意図なのだろうが、全く記述がない。
説明するまでもない、ということなのだろう。

12番の10月28日(火)は「公務員の日」(Dia do Servidor Público Federal)で、民間は通常日であるが、連邦の官庁は任意出勤(PF)となっている。

以上連邦政府が定める当表に載っている全国一円の休日のほかに、各地で市、地方あるいは州の記念日が数日定められていることが多い。

次のサイトで、任意の過去・将来年の、任意の国の休日が入った月齢付きカレンダーを閲覧・印刷できる(英語・ドイツ語・当国語-ブラジルならポルトガル語)。
このリンクはブラジルの2025年

2025年1月13日

小さな飛行機は事故が多いのか

CENIPA - Centro de Investigação e Prevenção de Acidentes Aeronáuticos 航空事故調査予防センター

ブラジル直近10年の航空機事故の大半は小型機のもの
Acidentes fatais com pequenas aeronaves dominam o cenário da aviação no Brasil na última década
Por Jornal Nacional
11/01/2025 20h56

ブラジルと日本の航空事情の大きな違いは、ブラジルはその国土の広さからくる。
富裕層の自家用飛行機やエアタクシーを使う交通、農薬散布など農業面の飛行機利用の多さであると言える。
以下の記事は「ブラジルは飛行機事故が多すぎるのではないか」という印象を説明してくれそうである。

ブラジル航空死亡事故(飛行機・ヘリコプター)
CENIPA

2024年2015-2024年
事故数33277
死亡数137650

2015-2024年ブラジル航空死亡事故数運用別
CENIPA

  • 自家用 particular 158
  • 農業用 agrícola 66
  • アエロタクシー táxi aéreo 17
  • 試験用 experimental 9
  • 専門用 especializada 8
  • 警察用 policial 7
  • 教習用 instrução 7
  • 商用定期便 regular 1

軍用の区別が見当たらないのだが、統計が民間用だけで軍用が入っていないからなのか、専門用というのが軍用を意味するのか、あるいは喜ぶべきことに10年間軍用機の事故がなかったのか、どれかは不明である。

先ほど「ブラジルは飛行機事故がとても多いのでは」と書いたのだが、データからは自家用・農業用の運用に関わる小型の飛行機の事故の数が多い(死亡を伴う航空事故総数の81%)ことがわかる。
たしかに航空機事故はしばしば起きるが、ほとんどは乗員数人の小型機によるものだ。
別に小型機だったら事故を起こしてもよいというのではない。
きっちり分業できている商用大型機とは異なり、小型機の保守管理運用は。ひとえにパイロットと、自家用機の場合にはオーナーの責任にかかるものである。
ブラジル国内の航空機数は近年増加してきたが、今日その数は1万1千あり、その内1万機以上は自家用・農業用の小型機である。
小型機の事故が多いのは、飛んでいる小型機の数が圧倒的に多いので、事故も比例して多いと考えれば納得できるだろう。

商用定期便の1件は昨年8月に起きたVoepass航空の ATR72 型機の墜落事故で、62人が死亡したもので現在も事故調査が続いている。

2025年1月9日

ブラジルの2024年貿易を簡潔に

ブラジル2024年の貿易収支は後退したものの、歴代2位
Superávit da balança comercial em 2024 recua, mas saldo é o segundo melhor da história
Por Jornal Nacional
06/01/2025 21h53

2024年のブラジル貿易収支、746億ドルは歴代2位の黒字なんだそうだ。1位は前年の2023年989億ドルであった。
以下情報元は開発商工業サービス省 MDIC - Ministério do Desenvolvimento, Indústria, Comércio e Serviços

2024年輸出品目と金額

  1. 原油 448億ドル
  2. 大豆 429億ドル
  3. 鉄鉱石 265億ドル
  4. 砂糖 159億ドル
  5. 石油由来燃料 117億ドル
  6. コーヒー生豆 113億ドル

2024年ブラジルの輸出先

  1. 中国 944億ドル
  2. 米国 403億ドル
  3. アルゼンチン 137億ドル
  4. オランダ 117億ドル
  5. スペイン 99億ドル

南米が一国しか入っていないのと、ヨーロッパの国の顔ぶれが少し意外な気がする。
中国と米国の貿易額にこれだけ差があると、あと10日あまりで米国大統領に就任するトランプが難癖つけてきても(すでにBRICSに関税の脅しをかけているが)、ブラジルはさっさと中国というか、関係の強いBRICSサイドに固まりそうである。
EUとMERCOSURの自由貿易協定は、EUの農業者の反対と南米側への環境対策の押し付けが絡んでいるので、なかなか決着がつかないところだ。

2024年輸入品目

  1. 石油由来燃料
  2. 原油
  3. 自動車

輸入に関して言うと、ブラジル国内ではガソリン/エタノール・フレックス燃料車の生産は本場ではあるが、EVやハイブリッド車については輸入に頼っている。
現在経済は順調であって、為替がレアル安になってはいるが、生産財、原材料、消費財の輸入意欲は強く続いている。