日本でもマイナンバーカードの偽造集団があるそうであるが、ブラジルで最近生活保護と、先に書いた委託融資の詐取を行っている詐欺団が摘発された。
詐欺団はわかった分で2300万レアルを詐取した。
発覚した生体情報貸し老人は21名であるが、300人分の登録がなされていた。
闇バイトするのが若者でなく老人であるのは、BPCの対象になるのが障害者でないならば、65歳以上の高齢者であるため、少なくともそのような外見の人でなければならなく、若い人ではできないからだ。
一人で30人に化けたものもいた。
日本の生活保護と同じように、毎月の掛金(保険分担金)を支払うことなくもらえるBPC(継続支給恩典)の金額は、1か月あたり最低給料(1,518レアル)にはるかに及ばない600レアルであるから、1回分の金額は少ないが、うまくいけば毎月必ず入金があるから、後には時々要求される受給資格適合確認をうまく騙せばよい。
日本の例に当てはめて簡単に説明すると、闇バイト老人の生体情報を利用して架空の貧困老人を作り上げて、生活保護を不正に受け取るようなものだ。
以下犯罪の手順が説明されているが、本人出頭が必要な場面では、30の架空登録をした闇バイト老人は、異なる30か所で手続きをしたのだろうか。
闇バイト老人は詐欺団から報酬として、詐取した不正受取金の一部を受け取っていた。
バイト内容を知らずに騙されたのではなく、悪事を働いている自覚がなければできない仕事である。
- 闇バイト老人は生体情報、つまり指紋と顔写真を提供する
- それを元に偽造グループは、Certidão de Nascimento 出生証明書、CPF 自然人登記番号、Carteira de Identidade 身分証明書、Título de Eleitor 選挙人証を偽造する
- 偽造書類を使い、銀行口座を開設して、さらに国の CadÚnico つまり低所得者対象の福祉単一登記に登録する
- INSS 社会保険院からBPC(継続支給恩典―日本で言えば生活保護のようなもの)を受け取る、また empréstimo consignado 委託融資を契約して融資金を受け取る
1人分の生体情報を使って複数の架空人登録をするためには、当人の悪意がないと不可能であろう。
それが可能であるということは、ブラジルの個人登録管理制度のもとでは、一人の生体情報を使って何人もの架空の個人登録をすることが、システム的に可能であるということである。
日本の統一登録であるマイナンバー、そのカードの作成には生体情報が入ると思うが、誰かが新規登録するときにその生体情報と、すでに登録されている生体情報を照合して、同じ生体情報を使いまわしすることがないようになっているのだろうか。
最近は現場へ行かずに家からオンラインで登録や認証する場面が多いのだが、AIの力を借りて顔写真と指紋を新たに生成して、自分・他人の生体情報を使いまわしすることなく、全く新しい架空の個人を創作して登録をすることは不可能なようにシステムはできているのだろうか。
考え始めるとなかなか厄介な問題だと思う。
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