2017年12月17日

恐怖の顔認証便所紙供給装置

パナソニック、顔認証で自動帰国手続き 羽田に導入
2017/12/15 14:54
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24681360V11C17A2000000/

これを見たら、先月見た中国の写真を思い出した。
既にリンクが切れているが、
「トイレ革命」で習主席、異例の「重要指示」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171127-00050067-yom-int.view-000
で見たのは、興味深い中国のトイレ革命である。

このページには二つの写真があった。
一つ目は昔から中国を観光で訪れる日本人の悪夢、いわゆる「ニーハオトイレ」であった。
対比する二つ目は、公衆トイレからトイレットペーパーが持っていかれるのを防ぐためのハイテク「トイレットペーパー・ディスペンサー」である。
何でも、顔認証で同一人には75cmを2回までは払い出して、その後は30分経たないと紙を出してくれないという。

今日は腹の調子が悪くて…(略)…という日はたいへん困るのではないか。
中国の都市にどれだけ公衆トイレが設置されているのかは知らないが、100メートルごとにあるとしよう。
100メートル、1分我慢して歩けば次のトイレがあって紙がもらえるのならまだ良い。
中国の公衆トイレのシステムが病的に過剰に完璧さにこだわって、全てのトイレがネットワークでつながっていて、隣のトイレにたどり着いても、もうこの人にはさっき紙を出したばかりだから…(略)…となったらもうおしまいである。

一見、日本は入出国管理、中国はトイレットペーパー盗難防止とは、中国よ、顔認証の使いみちがずれているのではないか?と突っ込みたくなるのだが、実はそんなことを笑ってはいられない。
公衆トイレまで顔認証を取り入れてしまう中国のITの強引さである。

中国ではgoogleもfacebookも遮断されて使えなので不便でかわいそう、と中国人ではない私たちは考える。
しかし、大防火壁の中で全ての必要物が賄える人、つまり外国のことはどうでも良いから、流れに身を任せていれば何の心配もないという普通の中国人にとっては、かえって人を惑わす煩わしい情報が入ってこなくて、当然何の不便もなく、すこぶる快適なのではないか。
使ったことはないが、百度も微博も阿里巴巴も中国で内部完結して、充実した生態系を作り上げているように見える。
中国人はシステムにプライバシー情報を無制限に渡すことに何の不安も持たないのか、いっせいに波に乗るのが中国人の特性なのかわからないが、支払の電子化が一気に進んだようである。
中国人の心配をしても始まらないが、国民のこのような態度は施政者にとっては非常に都合がよいだろうというのが最大の懸念ではある。

11月11日の独身の日たった一日で アリババで日本のデパートの年商額を超える取引があったとかいうから驚く。
あれだけの人口がネットワーク内ですべての取引を行うようになると、世界で一番充実したデータベースができてAIの学習が効率的になって、極めて短期間で精度が上がるということである。
そんな広範で強力なAIネットワークにつながっていれば、さっき腹の調子が悪くてトイレットペーパーを出してもらえなかった人のスマホに、近くの病院や薬局までの道順が出てきて、当然支払もそのスマホで済ませるように誘導されるのではないか。

一時日本ではお財布ケータイとかがもてはやされて、現金使用からいち早く脱却するのではないかとも思ったが、そのうち話題から消えてしまったのか、未だに日本ほど現金第一の国は他にないのではないか。
高額の現金を持ち歩いても危険がない環境が、余計に現金離れを起こさせないのだろう。
1円単位の端数が多くても釣り銭をいい加減にしない一般日本人の性格と、暗算能力が高いことも関係していると思う。
日本滞在時にはいかに小銭を減らすか、レジ前でよく計算したものである。

クレジットカードやデビットカードでの支払いは、青果市や行商人まで無線端末を持っていて、パスワードで支払認証できるブラジルのほうが日本よりずっと普及している。
素早い支払や現金携帯の危険だけでなく、小銭が家庭で死蔵されて不足しているのと紙幣が使い回しされて汚いことも現金・小切手支払いがカード支払いに替わられる理由と思われる。
衛生面からは、店員と購買者両方が同じテンキーを操作しなければならないICカード利用より、完全な無接触で操作が完了するスマホをかざす方式が優れているのは確かである。

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