2011年7月4日

軽犯罪では捕まらない?

2011年7月4日より拘留法が一部改正され、拘留について変更がある。
ブラジルの犯罪と懲罰について参考になりそうなので書いておこう。


Crimes leves = 軽い犯罪 懲役4年まで


被疑者は保釈金を払い、逮捕されることなく判決を待つ権利を有す。また、判決があっても、社会奉仕などの代用懲罰、刑務所外囚役の道があるため、必ずしも刑務所で懲役するわけでない。

これまでは現行犯は必ず一度逮捕され、保釈については判事の裁決が必要だった。
これからはdelegado da polícia(民事警察署長)が現行犯逮捕調書作成後、保釈の決定をすることができる。
これまでに軽い犯罪で現在拘置されている被疑者は、今回の改正により、釈放される可能性が出ている。

次にあげるのは軽い犯罪ではないが、delegadoが保釈金額を決定して釈放することができる。
  • furto = 窃盗 暴力を使わず他人の財物を奪うこと
  • estorção = 恐喝
  • receptação de produtos roubados = 盗品故買
  • homicídio culposo = 過失致死 殺意なく殺人を犯した場合、例えば、不注意運転で人をはね殺した場合

crimes graves = 重大な犯罪 懲役4年以上


これまでは重大な犯罪の現行犯逮捕の場合、拘置されていた。
これからは判事が現行犯逮捕後48時間以内に保釈に関しての決定を行う。
勾留・釈放の二択でなく、保釈時に位置確認装置の装着、自宅監禁、旅行・出国禁止、被害者・証人からへの近接禁止命令等様々な条件をつけることができるようになった。

次のような犯罪はcrime hediondo凶悪犯罪となる。
凶悪犯罪には保釈がない。
  • tráfico de drogas = 薬物取引
  • latrocínio = 強盗殺人
  • sequestro = 誘拐
  • estupro = 強姦
  • tortura = 拷問
  • racismo = 人種差別
  • homicídio doloso = 計画的・他人を死に至らす危険を知りながらの殺人、例えば、飲酒運転、スピード違反、信号無視で人をひき殺した場合

次にあげる犯罪も重大な犯罪であるが、判事は保釈金額を定めて、釈放することができる。
  • corrupção = 汚職
  • roubo = 強盗 暴力を使って他人の財物を奪うこと
  • crime financeiro = 経済犯罪
  • furto qualificado = 暴力は使わないが計画的な窃盗

この改正については、法曹専門家の間でも意見が割れている。
庶民の治安への不安感を配慮して保釈が得られにくくなるという意見があれば、反対に、軽い犯罪で拘留されることはほとんど無くなるとする意見もある。

ブラジルは、特に軽い犯罪に対する刑罰が世界的に見ても甘いと、ある識者も述べている。
日本で犯罪を犯してから、無断でブラジルへ帰国した在日ブラジル人への代理処罰が甘過ぎるという、一般的日本人の意見を裏打ちしている。

一方で、今回の改正は勾留についてのみであり、軽い犯罪による拘置から出所の恩恵を受ける人も、重大な犯罪で保釈を得る人も、本来刑務所にいるべきではないのだから無処罰の氾濫には当たらない、刑罰確定前は慎重でなければならないのとの意見もある。

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